焼いてこそ海苔

焼く前の海苔は黒紫色や黒褐色をしています。この色は、海苔に含まれている緑色の葉緑素、橙色のカロテノイド、紅色の紅藻素(コウソウソ)、藍色の藍藻素(ランソウソ)の4つの色素の色が混ざり合って生まれたものです。

焼きますと、これらの色素のうち比較的熱に弱い紅藻素と藍藻素が減少します。
そして、ほとんど変化しない葉緑素の緑色と元々含量の多い藍藻素の藍色によって、あの美しい“焼き色”が生まれてくるのです。
また、焼く効果は色素が変化するばかりではありません。
熱によって、細胞を包んでいる膜の性質も変化し、昆布に含まれている「グルタミン酸」や鰹節に含まれている「イノシン酸」などの旨味成分や香り成分が自由に通れるようになり、海苔独自の美味しさや風味が楽しめるようになるのです。

海苔のおいしさの秘密は?

海苔には、昆布のうまみ成分である「グルタミン酸」、鰹節のうまみ成分である「イノシン酸」、しいたけのうまみ成分である「グアニル酸」などがたくさん含まれていますが、これらの「うまみ成分」は、ひとつひとつよりも一緒になった方がおいしくなります。

うまみは、1+1が2にはならず、3になったり、5になったりするのです(これを味覚の相乗効果といいます)。
おいしい海苔はこれらの成分の量が多いばかりでなく、それぞれのバランスが良いため、うまみ成分が助け合って何倍ものおいしさを作り上げているのです。

「うま味」とは?

人が舌で感じる味として、「甘味・塩味・苦味・酸味・うま味」があります。
「うま味」は約100年前に日本人が第5の味として、発見しました。
しかし当時海外では、日本人だけが感じる味と言われてました。
ところが2000年にうま味を感じる舌の受容体が発見され、ようやく科学的に認められました。

「うま味」とはどんな味なのでしょうか?

うま味の代表的な味は、昆布だしの味です。グルタミン酸と呼ばれる成分を豊富に含み、料理にまろやかでコクのあるおいしさをつくりだします。
この他、鰹節や煮干しのイノシン酸、干し椎茸のグアニル酸も大切なうま味成分です。

海苔には、この3つのうま味が含まれている?
海苔のおいしさのヒミツ

海苔には、大切なうま味成分であるグルタミン酸(昆布の旨み)、イノシン酸(鰹節の旨み)、グアニル酸(椎茸の旨み)のすべてが含まれ、相まっておいしさを引き出しています。自然食品の中では、唯一の食品と言われています。
海苔独特のおいしさのヒミツですね。